「Ubuntuではじめる! Linux入門キット 14.04対応」を読みました
https://www.amazon.co.jp/dp/4798041343
Ubuntu Japanese Teamの水野さんから本を頂いたので感想とかを書きます。
「Ubuntuではじめる! Linux入門キット」は、Ubuntuをデスクトップマシンとして初めて使うユーザーに向けたガイドブックです。
Ubuntu 14.04(Trusty Tahr)は4月にリリースされましたが、日本語で読めるTrusty対応のガイドとしては日経Linuxの特集ぐらいで書籍としては無いので、現時点で最速のガイドブックでしょうか。
内容は、Ubuntuデスクトップ(Unity)の基本的な使い方をはじめ、Dashを使った便利な使い方といったところから、一般的なユーザーが日常的におこなうWebの閲覧を始め、さまざまなアプリケーションを使った作業、スマートフォンなど周辺機器との連携などが豊富なスクリーンショットとともに紹介されています。
章立ては、どこからでも読めるような章立てになっています。Ubuntuを使い始めたかたが「この使い方は、どうしたらいいんだろう?」と疑問が湧いたときにパッと開いて探す「リファレンス」として使うには、ちょうどよいと思います。
と、まあ簡単に内容を紹介しましたが、そんなことはどうでもいいです。 (どうでもいいことはないけど)
この本で感心した点は、Linux系書籍にありがちなコマンドラインが一切出てきません。
以前の入門キットは読んでないので、これまでも同様のコンセプトだったかどうかは分かりませんが、Linux系の書籍は初心者向けといいつつコマンドラインを叩かせるものが多く、うんざりしてました。
説明する方からすると、スクリーンショットを貼って「アレをクリックして」と書くより、コマンドを実行させるほうが、スクリーンショットを撮らなくていいし間違いがないことは分かります。 ただ、そうすると「Linuxを使うにはコマンドラインが必要」といった間違った認識を植え付けることになるし、なにより「壁」を作ってしまいます。
なので、人々にLinuxデスクトップを使ってもらうには、まずはWindowsやMacと変わりがないことに慣れてもらって、コマンドラインは 自分が必要になったときに (「必ず」ではありません。「必要になったとき」です)、改めて勉強するのが最善だと思ってます。
このような自分の考えに近い本が、近くの人から出たのが驚きと同時にとても悔しくもありました。 そういう意味で、いい本だなと思いました。
それともう一つ。 最初のオープンソース・ソフトウェア/フリー(自由)ソフトウェアについてや、補足資料のコミュニティについても言及されてて、これも良かったです。
あるところで、オープンソースについて書いてあったものを読みましたが、Wikipediaの間違った記述を元に書いてあり脱力しかけてました。 その点、水野さんは、FLOSSに対して理解もあるしコミュニティで活動しているという事もあって安心して読めました。
べた褒めしましたが、気になったところも少しあります。 それは、最近のWindows 8以降がインストールされたPCについての言及がなかったこと。
Windows XPサポート切れ問題もあって古いマシンの利用が念頭にあったのかもしれませんが、BIOSの設定は書いてあっても、UEFIについての言及がなかったので、注意としては一言あってもよかったかなと思いました。
それはさておき「Ubuntuを使ってみたけれど近くに使い方を尋ねられる人がいない」、「どんなことができるの?」と思っている人の最初の一歩としては一度読んでみるといいと思います。
この本を読んでUbuntuをはじめDebianやLinuxに興味を持ったなら、関西の人なら8月のオープンソースカンファレンスや11月の関西オープンソースに行ったり、毎月第4日曜の関西Debian勉強会に出たり、姫路なら第3土曜の姫路IT系勉強会に出て、オープンソースコミュニティの人と会うとより一層身近に感じられると思います。
_ Debian JPのクイックインストール解説を更新したいと思い、はや幾年
水野さんの本を読んで思ったけど、Debian JPのクイックインストール解説を更新したいと思い、はや幾年。 以前、Software DesignにSqueeze向けに書いたものをベースにと思って見なおしたけど、UEFIやファームウェアなどについて書き足すと結構書き直さないといけないんだよな。
なんかいろいろ積み上がってて、片付けられなくて自己嫌悪。