中国のKylinOS、NeoKylin、Ubuntu KylinとKylinがついたOSが多すぎるので調べてみた

nogajun
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Ubuntu Kylin 15.04

はじめに

「DELL中国が出荷する42%のPCにNeoKylin OSがプリインストールされている」というウォール・ストリート・ジャーナルの記事を受けて、関連した記事がいくつか出ました。それらを読んでいて「Ubuntu KylinとNeoKylinは同じもの?以前、BSDベースのKylinOSがあったけれどそれとの関係は?」という疑問が湧いたので、中国の「Kylin」がついたOSについて調べてみました。

結論としては、Ubuntu KylinとNeoKylinは別物。NeoKylinは、BSDベースのKylinOSとNeoShine Linuxがマージ(どちらかというとNeoShineに吸収)されたものでした。まとめるとこんな感じ。

  • KylinOS(銀河麒麟): 以前ニュースになったBSDベースのOS。終了しました。(が、Ubuntu Kylin LTS版のブランド名として復活しました。追記参照)
  • Ubuntu Kylin(优麒麟): 中国向けUbuntu公式フレーバーの一つ。
  • NeoKylin(中标麒麟): 今回ニュースになったLinuxベース(Redhat系)OS

まずは調べてみる

中国関連の調べものはBaiduあたりから始めるといい感じに調べられるので、Baiduを使ってUbuntu KylinとNeoKylinを検索したところ、百度百科がひっかかりました。 (百度百科はWikipediaっぽいサイトで、そこそこ情報がまとまってるので重宝してます。)

見比べて一目瞭然。開発元がUbuntu Kylinは「中国CCN联合实验室」、NeoKylinは「上海中标软件有限公司」となってるので別物らしいというのは分かりました。

では、どんなディストリビューションか調べるための手がかりはないかとGigazineを見るとこんな記述がありました。

コマンドプロンプトはこんな感じ。ウィンドウ右上にある最小化、最大化、閉じるアイコンもWindowsに倣っています。NeoKylinのソースコードを解析した結果、NeoKylinはオープンソースソフトのNeoShineをベースにしているとのこと。

http://gigazine.net/news/20150924-chinese-os-neokylin/

スクリーンショットにはガッツリOpenOffice.orgと書いてあるし、中标软件のNeoShineページを見ても、NeoShineはOpenOfficeベースのオフィスソフトです。本当にありがとうございました…。 で、終わるかと思ってNeoShineで検索したらDistroWatchのページがひっかかりました。

NeoShineはLinuxディストリビューションだった!? そして状態を見ると「休止した」と書いてあるけれど雰囲気はNeoKylinで開発元も同じ。改めてNeoKylinデスクトップ版のページを見るとNeoShineと書いてある!

百度百科の中国のLinuxディストリビューションページを調べてみると、BSDベースだった「銀河麒麟」(KylinOS)というページがあり、そこにKylinOSとNeoShine Linuxがマージされたと書いてありました。

ということは、以前、NeoShine Linuxと呼ばれていたディストリビューションは、KylinOSをマージしてNeoKylinに名前を変えた。NeoShineはOpenOffice.orgベースのオフィスソフトとして名前が残っている(元々、NeoShine Officeという名前だったけれど)。NeoKylinはLinuxディストリビューションとしては、DistroWatchと中标软件のサイトを総合すると、Redhat系ディストリビューションということのようです。

数字も調べてみる

Linuxディストリビューションとしてはわかったけれど、WSJが「DELL中国出荷の42%のPCに〜」と出した数字の根拠はどこかというと、調べている最中に見つけたNeoKylin開発元のプレスリリースが元になっているようです。

WSJが宣伝に乗っかったのかよ!

では、その数字が本当なのかDELL中国のサイトを見たところ、一般向けはWindowsインストールモデルだけですが、法人向けのデスクトップモデルを見るとWindowsとUbuntu、NeoKylinが混在しているので「42%」という数字は本当のようです。

まとめ

まとめるとこういう事だったようです。

  • Ubuntu KylinとNeoKylinは別のLinuxディストリビューション
  • NeoKylinは、NeoShineにKylinOSをマージしたディストリビューションだった
  • 中国DELLの法人向けモデルにはNeoKylinとUbuntuモデルもあるので42%はホントみたい

最後に一言

Wall Street Journalも、DellのNeoKylin搭載パソコンの比率には注意が必要と指摘している。海賊版Windowsが出回っているため、Windows搭載PCをNeoKylin搭載に買い替える人の数がはっきりしないからだ。

http://cloud.watch.impress.co.jp/docs/column/infostand/20150921_722188.html

Windowsモデルも売ってて、わざわざそんな事する必要ないと思うのでメリットは無いような気がします。 それを言うなら、オレみたいにWindows消してDebianぶち込む人はどうなるのさ!とツッコミを入れて終わりにしたいと思います。

2017/11/22追記

Ubuntu Kylinは、17.04からデスクトップ環境がUnityでもGNOMEでもないMateベースの独自デスクトップUKUIに変わりました。 そこからブランド名の再編がおこなわれたらしく、KylinOSで使われてた「銀河麒麟」という名前がUbuntu Kylin LTS版のブランド名として復活したようです。

ということで2017/11現在、通常リリースはUbuntu Kylin、LTSのコミュニティ版はKylin Galaxyという名前になったようです。なぜ、そうなったのかはわからないのですが…。


_ Ubuntu Kylinがよくできている

スクリーンショットを撮るためにUbuntu Kylinをインストールしてみたけど、かなりよくできてる。 時間があればレビュー書いてみたい。

中国といえばUbuntu派生のLinux Deepinのデスクトップ環境もかなり格好良くて、なにかまとめたいなぁ。時間ないけど。


_ LibreOfficeブランディングコンテストのTシャツが届いてた

この前、「遅くなってごめんよー」というメールがきてたけど、郵便受けを見たらTシャツが届いてた。 今回はシンプルな感じ。