2019-08-18
_ 32ビットUEFIでClonezillaを起動させる
Lenovo Miix 2 8という古いタブレットをもらいました。遊ぶ前にバックアップを取ろうとClonezillaを起動したらGrubのシェルに落ちてしまうので、32ビットUEFIでもちゃんと起動するようにしたメモです。
32ビットUEFIでも起動するClonezillaの作り方
まず、ClonezillaのZipファイルをUSBメモリ上に展開します。USBメモリはFAT32のままでOKです。Zipを別の場所で展開してファイルをコピーする場合は、.diskというドットフォルダもあるので気をつけてコピーしてください。
次にDebian InstallerのISOから、grubia32.efiとgrub.cfgのファイルをコピーします。コピーをするためにはISOイメージをどこかにマウントする必要がありますが、今どきならファイラーの拡張機能とかfuseisoとか使って適当な場所にマウントしてください。 grubia32.efiとgrub.cfgは、ISOイメージ内の以下のフォルダにあります。
- (ISO)/EFI/boot/grubia32.efi
- (ISO)/EFI/debian/grub.cfg
取り出したgrubia32.efiとgrub.cfgを、Clonezilla USBメモリ内のEFI/boot/フォルダにコピーします。
- (Clonezilla USB)/EFI/boot/
2つのファイルは特に変更することなく、そのままClonezillaのUSBメモリにコピーするだけでOKです。
これで、32ビットUEFIでも起動するClonezillaができました。それにしても、これをClonezillaにお知らせしたいけど、どこからお知らせしたらいいのだろう。
Lenovo Miix 2 8メモ
BIOSの入り方。音量ボタンのアップを押しながら電源を入れる。
2019-08-29
_ Lenovo Miix2 8にDebian BusterとAndroid x86 8.1 oreoをインストール
もらったLenovo Miix2 8タブレットをClonezillaでバックアップを取ったのでDebianをインストールしました。さらに、Android x86をインストールしてデュアルブートにしたら、それなりに遅さはあるものの、かなり使えるタブレットになりました。
実際に動いているところは、YouTubeの動画をどうぞ。(横道だけどYouTuberっぽい画面を作るのは意外と難しい)
こちらではインストール方法をまとめます。
用意するもの
- Miix2 8 (バッテリーはフル充電しておきましょう)
- Debian buster multi arch インストーラー (ファームウェアがあっても設定をしないとWiFi使えないので通常でOK)
- インストーラー用USBメモリ
- USB OTGケーブル (給電可のものを買ったのに、なぜか給電できず)
- USBハブ(電源があるほうが安全だと思います)
- USBネットワークアダプタ(WiFiがつながらないので必須)
- USBキーボード / マウス
最初にClonezillaでMiix2 8のバックアップを取りましょう。バックアップがあれば気が変わったとしても元に戻せるので、まずは取っておきましょう。(Miix 2 8で起動できるClonezilla USBメモリの作り方は以前の記事参照)
Debianインストーラーは、Etcherなどを使ってUSBメモリに書き込んでおきます。EtcherはマルチOS対応書き込みツールで、シンプルでわかりやすいのでオススメです。
これらが用意できれば、USBハブにDebianインストーラーのUSBメモリ、ネットワークアダプター、マウス、キーボードを挿し、USB OTGケーブルを使ってMiix2 8と接続します。
OTGケーブル経由でMiix2 8に給電できない場合は、ここでいったん止めてバッテリーをフル充電しておきましょう。
Debian 10 busterのインストール
準備に問題がなければDebianをインストールします。
USBメモリの起動は、Miix2本体のボリュームアップボタンを押しながら電源を入れるとBIOSが起動するので、BIOSメニュー「Boot Menu」の「EFI USB Device」を選択すると起動します。
Debianのインストールについてですが、通常のPCへのインストールと同じように進めて大丈夫です。
インストール途中で「(WiFiの)ファームウェアが見つかりません」と出ますが、足りないと言われるファイルは後述の設定で作るファイルでインストール中は何もできないので、そのまま次に進めてください。
パーティションは、全部消してDebianだけにしましょう。すべての領域を自動で作成すると32bit UEFI領域もキレイに作り直してくれるので、おすすめです。ストレージ容量が小さいので/homeなど分けずに一つの領域にしているほうが使い勝手はいいと思います。
デスクトップ環境は、GNOMEを選びましょう。下手に軽量デスクトップ環境なんかを選んではダメです。理由は、GNOMEはタブレットでの利用も考えて作られているからです。設定しなくとも横画面への回転が使えるのはGNOMEだけです。なので、ここはGNOMEにしておきましょう。
軽量デスクトップ環境を選びたい人は、自分でスクリプトを書いて解決できる人で、これを読む必要はないと思うので好きに選ぶといいと思います。
Debianの設定
インストールが終わったら、WiFiなどはまだ使えない状態なのでUSBハブなどはつないだままにしておいて設定をしていきます。 このあたりの設定は、Debian WikiのAsusT100TAを参考にしています。
• https://wiki.debian.org/InstallingDebianOn/Asus/T100TA
カーネルパラメータの追加(必須)
まず、grubの設定ファイル /etc/default/grub にカーネルパラメータ intel_idle.max_cstate=1 を追加します。これを設定しておかないと途中でフリーズするそうなので、最初にこれを追加して再起動をしてから作業をします。
$ sudo nano /etc/default/grub # grubの設定編集 GRUB_CMDLINE_LINUX="intel_idle.max_cstate=1" ←これを追加して保存 $ sudo /usr/sbin/grub-update # 設定を反映させる
これで再起動します。
ファームウェアの追加(必須)
再起動したら、デバイスを使うためにファームウェアを追加する必要があるので、aptリポジトリにcontribとnon-freeセクションを追加します。
$ sudo sed -ei 's/main$/main contrib non-free/g' /etc/apt/sources.list # apt-lineにnon-freeセクションを有効にする # firmwareのインストール
$ sudo apt update $ sudo apt install firmware-linux firmware firmware-intel-sound firmware-brcm80211 bluez-firmware
WiFiは、インストールしたファームウェアのほかに本体からファイルを切り出す必要もあるので、切り出してファームウェアと一緒に置きます。
# mount -t efivarfs efivarfs /sys/firmware/efi/efivars # cp /sys/firmware/efi/efivars/nvram-74b00bd9-805a-4d61-b51f-43268123d113 /lib/firmware/brcm/brcmfmac43241b4-sdio.txt
これで、必須の設定は終わりました。WiFiは再起動すれば使えます。
TLPのインストール
省電力設定のためにtlpをインストールします。
$ sudo apt install tlp tlp-rdw
設定は、あまりいじらなくていいかもしれないけれど/etc/default/tlpは、こんな感じにしました。
# improve disk IO DISK_DEVICES="mmcblk0" DISK_IOSCHED="deadline" ... # disable wifi power saving mode (wifi speed drops MASSIVELY!) WIFI_PWR_ON_AC=off WIFI_PWR_ON_BAT=off
zram-toolsのインストール
メモリが2GBしかないので、zram-toolsをインストールしておきます。zswapでもいいのですが、インストールするだけでよいので、今はこちらを使うほうがいいと思います。
$ sudo apt install zram-tools
バックライトの輝度変更
バックライトの輝度が変更できないので、変更したい場合はxrandrで変更してください。
$ xrandr --output DSI-1 --brightness 0.7
こまごましたこと
下にあるランチャーはdashtodockを使って表示しています。あと、ウィンドウの表示面積を稼ぎたいのでpixelsaverをdebパッケージからインストールしてます。
$ sudo apt install gnome-shell-extension-dashtodock gnome-shell-extension-pixelsaver
Gnome拡張機能の設定は、Gnome Tweakからしてください。
ソフトウェアキーボードは、ibusしか使えずmozcを使うとキーリピートがかかってしまうので、ibus-Anthyに入れ替えてます。
$ sudo apt install ibus ibus-anthy $ sudo apt purge uim uim-mozc uim-anthy $ sudo apt autoremove
これは好みですが、あまり好きではないVLゴシックDroid Fallbackフォントを削除。
$ sudo apt purge fonts-vlgothic fonts-droid-fallback $ sudo apt install fonts-noto-cjk fonts-noto-cjk-extra
とりあえず、ここまでで使えるようになりました。あとは好きなものをインストールしてください。
Android x86のインストール
デュアルブートしているAndroid x86ですが、これは以前書いた記事そのままなので、こちらをご覧ください。
- Teclast F6 ProにAndroid x86をインストールしてDebianとデュアルブートにして使う - Days of Speed(2019-01-05): http://www.nofuture.tv/diary/20190105.html#p01
インストールするAndroidのバージョンは、8.0 r2 Oreo以上にしてください。それ以前だと、まったく使うことができません。
インストールについては難しくはありませんが、起動時のOS選択について問題があります。Grubの画面でボリュームキーが使えないので、OSの選択ができません。
では、どうやって切り替えるかというとUSBキーボードを差して切り替えるか、Debian上から、grub-rebootまたはgrub-set-defaultを使ってgrubの起動番号を変更してブートするしかありません。 こんな感じです。
# grub-reboot 3
これに関しては要望も出てるし、パッチを当ててパッケージを作り直せばいいのですが面倒なので、自分はこれで対処しています。
まとめ
もらいもので期待していなかったのに、こんな使い物になるとはびっくりです。わざわざ買う必要はないかもしれないけど、家に転がっている人は試してみてはいかがでしょうか。